ラーゲリーより愛をこめて
私の世代でも戦争は教科書の中で起こったことの1つにすぎない。
母方の祖父が被爆者で毎夏、あの日のことを伝えてくれてたのに。
『今』との圧倒的な違いに、戦争が自分ごとに感じていなかった。
父方の祖父はシベリア抑留経験者。
そもそも祖父と父が親子関係がうまくいってなかったから、シベリア抑留経験者としか知らない。
ラーゲリーを観て1番込み上げてきたものは
『伝えていかなきゃ』という想い。
事実は映画で描かれている、何百、何千倍も残酷で悲惨で目を背けたくなるこばかりだと思う。
事実と違うところもたくさんあるだろう。
でもさ。
そもそも、皆は残酷すぎるもの観る?
キャストが美しすぎるとか、事実と違うとか批判も多いようだけど。
事実を忠実に作りすぎた映画は、万人受けはしないと思う。
戦争映画を観るべき理由はただ1つ。
後世に伝えて、抑止力を高めること。
戦争下、人為的に作られた不幸でたくさんの人が死んで、人としての尊厳を奪われ、家族と離れ離れになった。
現代の当たり前の日常が尊いということ。
個人を尊重されることが当たり前でない、物のような扱いをされていた事実があったこと。
そんな最大級のトラウマを抱え、戦後を生き抜いた人たちが作ってきた家庭から繋がってる現代。
家族間で色々な問題があり、現代まで尾を引いて、家族の理想と現実に苦しんでいる人もいるだろう。
それさえも、時代背景を知れば『許す』ことしか、できないんじゃないか?
今、苦しんでる人も、映画を通して俯瞰して現状を捉えると、見え方が違ってくるんじゃないかな?
そう思える、良い映画だと思う。
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