人生で一番楽しい夏
夏が怖かった。
16年前の7月11日。海きららで小学1年生のジャイ子と初対面を果たし、これから結婚へ向かっていくんだと思っていた。あの時は、まさか10日後に緊急入院するなんて思っていなかった。
今となって冷静に振り返れば異常事態というのは一目瞭然。
走れないし、階段の昇り降りも手すりがないと出来なかったし、ブラジャーのホックだって後ろ手では出来ないし、和式のトイレでは立ち上がり方が分からなくなっていたし、髪の毛を乾かすときもドライヤーを持つ手が震えて落とすから、持ったり置いたりを繰り返し、休み休み乾かしていた。
立っていたのがやっとな状態なのに、自分の意志とは無関係に体が徐々に動かなくなることに、全く気づかなかった。
気づかない私に愛想を尽かした体が、突然倒れるという暴挙に出て、入院した7月。
パルス療法が功を奏して、リハビリに精を出した8月。
今日、突然携帯に思い出のアルバムに通知された2009年8月10日付の写真。
リハビリでヒールを履いて100m歩けたと両手をあげて大喜びしている私。
その刹那、走馬灯のように16年間の思い出が脳裏を駆け巡る。
色々あったなぁ。
あの時から16年。
あの時の私に言ってあげたい。
「あなた、あと半年で再発して難病宣告されるし、子供を3人も亡くしたし、死にそうになることも何回かあったけど、それでも2025年の夏にはその経験を踏まえても、人生で一番楽しい夏を過ごせたと笑っているよ」
そう思って、このブログを書いている、今が一番幸せだ。
人生は何が起こるか分からない。
一生かけても癒えない傷も出来る。
だけど、そういうものを全部抱えても
幸せと思うこともある。
生きていないと分からないことだ。
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